『BAR追分』
ブックレビュー ☆4つ
『BAR追分』 伊吹 有喜
この小説はなんといっても設定が素敵だ。
新宿の路地、ねこみち横丁の奥にあるBAR追分は、横丁の住人たちの憩いの場。
わかりにくい場所なのに、何故か人生に迷った人が引き寄せられる。
昼は愛想が良くて可愛らしい店主が、定食やコーヒーでお腹を満たしてくれるバール追分。
リーズナブルだが、きちんと手間をかけた料理はどれも食欲をそそられる。
夜はもの静かなバーテンダーが、カウンターにつくと、まずは身体をほぐし気分を切り替えられるようにと小さなカップのコンソメスープを出してくれる、バー追分。
カウンターの奥の席には、オールドファッションドを飲む美女。
そして、地下には横丁の住人専用の共同浴場まである。
そんな舞台の、美味しい優しい物語。
居酒屋で焼き鳥にビールやハイボール、刺身と冷酒で酔っぱらうのも悪くはないが、たまにはバーのカウンターで枝付きレーズンやチーズをつまみにカクテルやウィスキーのロックを2~3杯、ってのも良いよなぁ。
BAR追分、今日も人生の岐路に立つお客がやってくる。