『燃えあがる緑の木 第一部「救い主」が殴られるまで』

ブックレビュー ☆5つ

『燃えあがる緑の木 第一部「救い主」が殴られるまで』 大江 健三郎

自らのルーツである四国の深い森の村に暮らしはじめた隆は、オーバー(長老)から土地の伝承を聞くなかでギー兄さんと呼ばれるようになる。
オーバーは自分の死後、オーバーの世話をしていたサッチャンが屋敷を守りそれにまつわる様々なことを行っていくことを手助けするようギー兄さんに願ったが、伝承と併せオーバーの不思議な力(治癒能力)も受け継ぐことになったギー兄さんは、「救い主」として村での存在感を高めていく。

その後一部の者から、治癒能力が偽物だと断罪・暴行され、その地位を失ったが、サッチャンの助けを受けて教会を立ち上げることとなる。
それは、オーバーの言うところの「魂のこと」を実践していくものなんだろう。

サッチャンが、小説家のK伯父さんのすすめで「救世主」の物語を書き残したものが本書『燃えあがる緑の木』という設定になっている。
K伯父さんとは、養護学校へ通う息子ヒカリがいることからも、言わずもがな著者(大江)の分身だろう。

それにしても、登場人物一覧が欲しいくらい登場人物が多く、それもシレっと増えていくうえ、人によって呼び名が変わったりするので、それぞれがどのような関係・立場の人かわからなくなる。

この文章をまとめるために、数頁読み直してみて腑に落ちたことも多かったので、本当ならすぐにでも再読したいところだが、なにせあと二巻あるので、先をするめることにする。

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『燃えあがる緑の木 第一部「救い主」が殴られるまで』 大江 健三郎 著 新潮社

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