『逆ソクラテス』
ブックレビュー ☆3つ
『逆ソクラテス』 伊坂 幸太郎
小学生を主人公にした短編5編。
「デビューして20年、この仕事をしてきたひとつの成果だと思っています。」著者あとがき より
なんだろう、どうしてだろう・・・あまり面白いとは思わなかった。
面白くない、というのは正しくないかな。
伊坂さんの小説にしては面白くない。
なんかサラッとしすぎて物足りない。
高評価が多いレビュー(アマゾンで★4つ半)に対して、表題作に出てくる重要な台詞
「僕は、そうは、思わない」
をまねて、言ってるわけじゃないんだけど。
でもまぁ、この台詞は好きだな。
大勢が自分の考えと違う時に、萎縮したり遠慮したり空気を読んだりせずに、堂々とこう言える大人になりたい。
もう遅いか・・・いゃ、「わしはそうは思わんぞ」っていえる老人には、なれるかも。
やっぱやめとこ。こういう言葉は若い人が言ってこそ意義がある気がする。
年寄りが言ったところで、時代錯誤の頑固ジジイってからかわれるのが関の山だ。
本書には他にも、生きてくうえで指標にしたくなるような素敵な言葉がいくつか出てくる。
話としては、『スロウではない』が一番好き。
本書の共通テーマ、”逆転” も効果的で心地良いし、
担任の先生が、「わたし、大人になったらどうなるの」と泣きながら言ってきた生徒に、トランプ占いをするところも好き。
「先生の占い、本当に当たるぞ」「未来のおまえは笑っている。それは間違いない」
そんなふうに言われたら、ウソだろ!と思いつつも、結構心の支えになりそうじゃん。
そして、エンディングも、ほのぼのとして良い。
ん、なんだ、よくよく見なおしてみると、案外良かったかも。