『ラヴレターズ』

ブックレビュー ☆3つ

『ラヴレターズ』 吉本 ばなな 他

ラヴレター、自分では書いたことあったっけ。

ラヴレターとは「思いを寄せる人への告白の手紙」という認識をもっていたので、そういう意味では書いたことはないが、告白に限定せずに好きな人への手紙ということなら、何度かあるな。

ちなみに、いくつかの国語辞典で引いてみると、ラブレター→恋文 として、
・恋い慕う気持ちを書いた手紙(三省堂現代新国語辞典 第六版)
・恋いしたう心を打ち明けた手紙(三省堂国語辞典 第四版)

僕の認識は三国に近いけど、本書の作家さんたちはもう少し広い意味で、現代新国語の解釈の方が多かった。

ラヴレターの宛先は、かつての同級生へ、夫へ、伯父へ、愛猫へ、若かりし日の自分へ、公私とも付き合いのある友人へ、コンビニへ(誰が書いたかわかるよな)、寄席へ(これも著者一覧を見れば想像がつく)、飛行機へ、などなど。

そこで綴られるのは、愛情・好意・感謝・謝罪・愛着・激励・・・。
面と向かってはなかなか言えない気持ち、そもそももう会うことがかなわない人への思い、言葉が通じないモノへの心情。

当然だけど、本書に掲載されているラヴレターは宛先には送られていない(たぶん)。
結果的に、書籍になってから本人が読んだものはあるかもしれないけど。

フィクションとして書かれたものもあるだろうけど、多くは実在・実体験から書かれたもののように思う。
出来れば、相手に届いて欲しいな、と思う。

だけど、届かなくても良いのかも。
手紙って、書くことで自分の気持ちの整理が出来る、気持ちが落ち着くと思うから。
手紙を書き終えた時点で、すでに目的が達せられてるってこともある気がする。

やっぱり手紙って良いよな。
誰かに手紙を書きたい、そして、誰か手紙をくれないかな。

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『ラヴレターズ』 吉本 ばなな 他 文藝春秋

〈アンソロジー執筆者 以下、掲載順〉
吉本ばなな 川上未映子 二階堂ふみ 西川美和 壇蜜 小池真理子
横尾忠則 山本容子 俵万智 桐野夏生 小島慶子 姫野カオルコ
山中千尋 松尾スズキ 加藤千恵 松田青子 村田沙耶香
春風亭一之輔 砂田麻美 中江有里 島田雅彦 岩下尚史
髙樹のぶ子 皆川博子 橋本治 長塚京三

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