『お探し物は図書室まで』

ブックレビュー ☆4つ

『お探し物は図書室まで』 青山 美智子

タイトルに惹かれて予約したものの、いざ手にして帯の「明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説」
っていう宣伝文句を見て、読まずに返そうかと思った。
50台も後半になって、ただでさえ読むのが遅くて、この先あと何冊読めるかって感じなのに、いまさらハートウォーミング小説ってのもねぇ。
しかし、緊急事態宣言下で図書館は閉館して、次の本は借りられないのでとりあえず読むことにした。

地域のコミュニティハウスにある、図書室を訪れた人たちを主人公とした連作短編集。

それぞれに悩みや問題をかかえ、希望に合う本について司書に相談しようとレファレンスを覗くと、そこには”ものすごく大きな女の人”がいた。
一瞬言葉を失う主人公に、司書から投げかけられる、「何をお探し?」 という言葉。
この言葉を聞いて、彼らは自分が本当に求めていたものに気づく。

探している本の相談をすると、お勧めの本のリストを渡されるが、リストの一番下に伝えた希望とは関係なさそうな本が1冊入っている。
そして、司書が仕事の合間に手作りしたらしい羊毛フェルトの小物を、本の付録として渡される。「どうぞ。あなたには、これ」と。
しかし、この関係なさそうな本と羊毛フェルトの小物は、主人公たちが前へ進む道を示唆するものだった。

それにしても司書の小町さゆりさん。その風貌から主人公たちに散々な言われようだ。
・穴で冬ごもりしている白熊
・「ゴーストバスターズ」に出てくるマシュマロマン
・正月に神社で飾られる巨大な鏡餅、など

物言いも、つっけんどんで、ぶっきらぼうだけど、実は繊細で優しい心の持ち主だ。
僕には、口調や態度からマツコ・デラックスさんが浮かんで離れなかったけど、amaz〇nの書評を見ると同じことを思った人は多いみたい。

僕は読む本はすべて図書館で借りているので、図書館へはよく行くけど司書さんとお話ししたことはないな。
もしも、小町さんに「何をお探し?」と尋ねられたら、何が頭に浮かぶだろう・・・

「ゆとりある老後」か。・・・ちっ、国民年金基金のコマーシャルじゃん!

しかたなしに読み始めたが、結構面白かった。

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『お探し物は図書室まで』 青山 美智子 著 ポプラ社

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