『陸王』

ブックレビュー ☆4つ

『陸王』 池井戸 潤

売り上げ減少に歯止めがかからない足袋製造の老舗が、新規事業としてランニングシューズの開発に乗り出す。
培った製造技術を生かした地下足袋のようなランニングシューズは、人間本来の走り方を身に着けることができる、と。
製造や販売の過程で次々に起こる問題や障害に、脚の故障に苦しむ元エリートランナーの再起と、社長の息子の就職活動の苦労をからめてのストーリー展開にぐいぐいと引き込まれる、のだが。

同じようなパターンの繰り返しにだんだん飽きてきてしまった。
なんだかんだあっても結局は解決するんでしょ? っていう思いで読み進めるようになってしまう。
そして、最後にどんな感動的な結末を迎えるのかという期待も、ずいぶん端折ってしまった感があり、いまひとつ盛り上がりに欠けた。

また僕自身が今、フクラハギの故障で走れない日々が続いていることもあって興味があったのだが、シューズやランナーについての記述に深みが欠けるのも残念だった。

ところで、この話には実在のモデルがあるらしいが、この前参加したランニング教室の時に弘山 晴美さんが言ってた足袋屋さんってのがそれなのかな。
弘山さんに話を聞きに来て、開発にもかかわってるようなこと言ってた気がする。
でも教室のとき弘山さんが履いてたのは、ごく普通の地下足袋だったけどね。

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『陸王』 池井戸 潤 著 集英社

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