『裸の華』
ブックレビュー ☆4つ
『裸の華』 桜木 紫乃
社会人になりたての頃、同期の友人たちと何度かストリップ劇場へ行ったことがある。
あの頃は我が市にもそんな場所があったが、いつの間にか無くなってしまった。
脚の怪我で引退したストリッパーのノリカは遠く離れた札幌でダンスシアターを開業するが、そこで出会った天才肌のダンサーみのりに触発され、再起を決意する。
平成の舞姫の異名をもつストリッパー、ただ踊るためだけに生きているような若きダンサー、バックで流れる音楽と銀座の宝石と呼ばれたワケアリのバーテンダーが作る魅惑的なカクテル。
イマジネーションの目と耳と舌を楽しませてくれる小説だった。
いくつになっても、どこへいっても、身体一つで生きていくストリッパーの強さと逞しさ、そこでしか生きていけない痛々しさと哀しさ。
開いた脚の間よりも、伸ばした手の先に視線を向けさせるようなストリッパーの踊り。
何十年ぶりかでストリップを見たくなったが、今はもう愛知県に1軒も無いようだ。