『祝祭と予感』
ブックレビュー ☆4つ
『祝祭と予感』 恩田 陸
『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短編集。
前作の、文章から湧き上がる音の世界感や圧倒的な筆致と分量からすると物足りなさを感じるが、”続編” ではないのでこれくらいさらっとした話でちょうど良いのかな。
登場人物たちの素の部分が伺い知れる、良い意味で力の抜けた作品集だと思う。
短編のタイトルと、概要・主な登場人物は以下の通り。
「祝祭と掃苔」 コンクールの後日談(風間塵、栄伝亜夜、マサル・カルロス)
「獅子と芍薬」 コンクール審査員2人の出会い(ナサニエル・シルヴァーバーグ、嵯峨三枝子)
「袈裟と鞦韆」 コンクール課題曲の裏話(作曲家:菱沼忠明)
「竪琴と葦笛」 子弟の出会い(マサル、ナサニエル)
「鈴蘭と階段」 コンクール後日談(浜崎奏、亜夜、塵)
「伝説と予感」 子弟の出会い(風間塵、ユージ・ホフマン)
二人の審査員がまだコンテスタントだったころの「獅子と芍薬」は亜夜やマサルや塵の現在の様子と重ね合わせてみたり、「伝説と予感」は謎が多い風間塵の一旦が垣間見れたりして、面白かった。
『祝祭と予感』 恩田 陸 著 幻冬舎