『琥珀のまたたき』

ブックレビュー ☆4つ

『琥珀のまたたき』 小川 洋子

予約本の順番が回ってきたので、続けての小川 洋子さんだが、今回は長編。

以前、「小川洋子さんの描く世界は、どこかしら閉じている」 とレビューに書かれていた方がいたが、この作品もまさしく閉ざされた世界の物語。

煉瓦の壁で囲まれた古い別荘に住む三人の姉弟(トパーズ、琥珀、瑪瑙)は、壁から外に出ることを禁じられている。外に出れるのは、仕事に行く母親だけだ。
老いてからの琥珀は、芸術の館と呼ばれる老人施設に暮らし、そこから出ることは無い。そして、幼くして亡くなった三姉弟の妹は、琥珀の手で図鑑のページの片隅に生を与えられる。

静かな物語は時にひどく退屈に感じるが、美しくも儚い世界はこの上なく心地良い言葉に満ちている。

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『琥珀のまたたき』 小川 洋子 著 講談社

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