『ピスタチオ』

ブックレビュー ☆4つ半

『ピスタチオ』 梨木 香歩

ライターの翠(みどり)は古本屋で、アフリカにいた頃に友人を介して知り合った片山 海里が出した本を偶然見つける。
アフリカの民話を集めたものだった。
同じころ、連れ合いから呪術医を扱った本を紹介される。著者は片山 海里。
そして片山が死んだことを知る。死因がどうもはっきりしない。
どうやら片山はウガンダの呪術医を回って話を聞き、呪術の修行もしていたという。
呪術医(ウィッチ・ドクター)とは、ジンナジュ(精霊)の力を借りて病を治すらしい。

期を同じくして、翠にウガンダ取材の仕事の話が。
取材の準備を進めるなかで、ウガンダで片山と関わった人が二人亡くなっていることを知る。
翠は、何かに導かれるようにウガンダへ向かい、図らずも片山の残した仕事を引き継ぐことになる。

これはミステリー? サスペンス?
いや、ここからの話は民話や神話のようで、アラビアン・ナイトを思わせる。
そういえば、アラビアン・ナイトに出てくるジンニー(魔人)とジンナジュって言葉が似てるような。

途中までは退屈に感じたのだが、翠がウガンダへ旅立つあたりから俄然面白くなってくる。
そして、読み終えてみると退屈だった前段にちゃんと伏線が張られていたことに気付かされる。

ラストで翠が書いた作中小説 『ピスタチオ-死者の眠りのために』。
うーん、主題がいまひとつ分からないが、キーワードは「洪水」・「ピスタチオの木」そして「人は死んだら鳥になる」・・・かな。
小説全体をもう一度読み直せば、もっときちんと作者の意図が理解できる・・・と思う。

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『ピスタチオ』 梨木 香歩 著 筑摩書房

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