『タルト・タタンの夢』
ブックレビュー ☆4つ
『タルト・タタンの夢』 近藤 史恵
こじんまりとした、家庭的フランス料理の店〈パ・マル〉。
そこに訪れる客の行き違い・思い違い・過去の秘密などを無愛想なシェフ三船が料理をヒントに解明する、7話からなる短編集。
最後の「割り切れないチョコレート」が一番良かった。
恋の悩み答えられるほど、火の粉くぐってきたわけじゃなさそうなのに、素材を生かした繊細な料理を作るシェフには、人の心の機微がわかってしまうものなのかな。
そんなとききまって供されるヴァン・ショー(ホット・ワインのことらしい)は、身体も心もほぐれる魔法のくすりなのかもしれない。
謎が解けたお客は、優しい心持ちで店を後にする。
眠れ今宵 魔法のくすりで (松任谷 由美 ”魔法のくすり” より引用)