『サロメ』
ブックレビュー ☆4つ
『サロメ』 原田 マハ
オスカー・ワイルドの戯曲 『サロメ』 は、サロメが預言者の首を求めるくだり程度しか知らなかった。
オスカー・ワイルドの背徳と狂気の物語と、オーブリー・ビアズリーの邪悪で淫靡な挿絵。
原田 マハの 『サロメ』 は、二つの強烈な才能の融合の過程が、オーブリーの姉メイベルの目線で語られる。
史実に基づいているということだが、どこまでが事実でどこからが創作かわからない。
でも、僕は歴史を学びたいわけでもなければ、真実を知りたいわけでもない。
ただ物語を楽しみたい。
そんな欲求は十分に満たしてくれる。
オーブリーの絵のように蠱惑的で、サロメのように悪魔的なメイベルの振る舞い。
奸計をもって迎えるラストシーンは残酷だが、幻想的でもあった。