『終わりと始まり』

ブックレビュー ☆5つ

『終わりと始まり』 池澤 夏樹

僕にとって池澤夏樹は良識の人だ。
この人の言うことなら信用できる、そんな安心感がある。
何ら根拠はないから、説得力がないけど。

本書は、池澤が2008年から2013年まで朝日新聞 夕刊に毎月書いてきたコラムをまとめたもの。

テーマは様々だが、一貫して弱者に寄り添っている印象がある。
コラム連載の間(ほぼ中間点)で起きた東日本大震災以降、”震災” というより ”原発” に関するものが多くなったのは仕方ないと思うが、もっとさまざまな話を聞きたかった、なとも思う。

『「思い」と「考え」の間で』(2013年1月8日)
「今、気になっているのは、みんなが「考える」より「思う」でことを決めるようにいなったことだ。五分間の論理的な思考より一秒の好悪の判断。」と書いている。
SNSの普及は加速し、この心配は現実になっている、と思う。例えば某県知事選挙など。
感情でなく思考で判断したい、と思う。

『土地の名・戦争の名』(2010年8月3日)
今日の中日新聞 朝刊に【8.15終戦の日 「あの戦争」今も定まらぬ呼称 】という記事があった。
本書の中でも、ほぼ同じ内容のことが書かれている。
池澤は、どう弁明しようが負けたという結果は変わらないという思いがネーミングを曇らせる、と推測する。
そして「日本には大陸戦線と太平洋戦線があった」のを一つの名称にするのに無理があるのかも。
終戦の日、少しだけ「あの戦争」について考えてみた。

全体として、読んでいて心地良さを感じるのは、声高にではなく、自らの考えを静かに優しく語りかけてくる感じがするからかもしれない。

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『終わりと始まり』 池澤 夏樹 著 朝日新聞出版

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