自動運転の対人事故、任意保険で補償
自動運転の自動車の開発が進んでいくことで、気になる記事があったので引用する。
自動運転の対人事故、任意保険で補償 損保各社
【イブニングスクープ】
- 2018/5/15 18:00
- ニュースソース
- 日本経済新聞 電子版
損害保険各社は任意で加入する自動車保険について、システムが運転の主体となる自動運転車の対人事故も補償の対象とする方針だ。政府が自動運転中の事故は車の所有者に責任があるとの考え方をまとめたのを受け、具体的な保険の設計に入る。自動運転は事故を巡る民事責任と補償の枠組みが固まり、安全を担保する要件など詳しい制度設計の段階に移る。
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政府は3月末、自動運転車の普及を見込む2020~25年に向けた法整備や規制の方向性を示した。事故時の賠償責任はこれまでと同じように所有者が負うこととし、加入が義務の自動車損害賠償責任保険(自賠責)で相手の被害を補償することになった。
東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパン日本興亜、あいおいニッセイ同和損害保険の大手4社は、任意加入の自動車保険でも自動運転の対人事故を補償する。死亡事故など自賠責の保険金では被害者家族の生活費を十分に賄えない場合に、民間保険で不足分を補う。
自動運転のうち、原則としてシステムが運転し、緊急時のみ運転者が操縦する「レベル3」を主な対象に保険金を払う。レベル3の商用化が見込まれる20年代の販売開始を見込む。
自賠責の対象とならない物損は、「レベル3」でも自動車保険の特約で対応する。損保各社は主力の保険に自動運転中の事故を対象にした特約をすでに無料でつけている。東京海上日動の北沢利文社長は「自動運転の事故でも、自賠責と民間保険によって被害者の救済を最優先する環境を整える」と話す。
任意保険は保険会社がいったん被害者に保険金を支払う仕組みだが、システムの不具合などで自動車メーカーに過失があれば、一定の賠償を求めることを想定している。だがサイバー攻撃による事故は原因の特定が難しく、分析システムの構築は今後の課題となる。
自動運転の普及には、法整備の課題も多く残っている。日本の道路交通法は、自動車の走行は運転者の関与を前提とする「ジュネーブ条約」に基づいて制定されている。システムが自動車を動かす自動運転と今の道交法にはズレがあるが、この条約を改正する見通しはまだたっていない。
事故時の刑事責任のあり方も大きな焦点だ。どのような方向性になるかはまだ見えていない。メーカーに求める安全性の基準作りなどもこれから進む段階だ。
一方で自動運転車が普及すれば、交通事故は大きく減る可能性がある。コンサルティング大手のKPMGは、30年には自動運転車の増加によって事故発生率が60%以上下がると推計する。
ただ、当面は従来型の車両と自動運転車が混在して道路を走る。自動運転車を運転する人に事故のリスクがなくなるわけではない。自賠責は日本独自の仕組みで、保険による自動運転の環境整備は世界でも日本が先行して進みそうだ。