『55歳からのハローライフ』

ブックレビュー ☆4つ

『55歳からのハローライフ』 村上 龍

”人生100年時代” とか ”一億総活躍社会” とかって、正直 勘弁してくれ と思う。
趣旨は素晴らしいと思うが、それを国から言われると、「100歳まで生きて、ずっと働いて税金を納めてくれ」って言われてる気がしてしかたない。

55歳、現役としての最終コーナーを曲がって、そろそろゴールが見えるかと思ったら、あそこは折り返しで、またスタート位置まで戻りなさい、と言われたような気分だ。

そんな55歳がもうすぐ終わりそうなとき、ふとこの本のことを思い出した。
もしかして、これからの人生の道標になるかなと。

55歳頃を転機として、もう少しだけ歳を重ねた人たちを描いた5つの連作中篇。
忙しく過ごして、それまで目を背けていたことに直面せざるを得なくなる年齢なのかな。

離婚からの婚活、リストラ後の再就職、早期退職、定年退職後の夫婦関係、リタイアしてからの恋心。
人生の折り返し点を過ぎて、それぞれの転機を迎えて何とか「再出発」を果たそうとする主人公たち。

共通するのは、「それまでの人生で、誰と、どんな信頼関係を築いてきたか」 (あとがきより)。

同僚と、友人と、家族と。
”信頼関係” か。この歳になってふりかえると、いささか心もとないが、せめて今からできることはやっていこうと、少しだけ前向きになれたかな。

「人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きることだ。」 P.70

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『55歳からのハローライフ』 村上 龍 著 幻冬舎

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