『f植物園の巣穴』

ブックレビュー ☆4つ

『f植物園の巣穴』 梨木 香歩

摩訶不思議。
それは、夢かうつつか幻覚か、過去の記憶か深層心理か・・・
主人公がわからないのだから、読んでいる方もわからない。

水の流れをせき止めるように心の中に滞っていた記憶を探る。

人はあまりに辛い出来事は、記憶から消してしまうことがあるらしい。
そうでもしなければこの先、生きていけないから。
でもそれは本当に消えてしまったわけじゃなく、心の奥にじっと潜んでいる。
心の救済のためには、ずいぶん長い時間が必要だったんだ。

以前から時々、自分でも忘れてしまった(心の中に封じ込めてしまった)、けれど重大なことがあるんじゃないかと感じることがある。

F
『f植物園の巣穴』 梨木 香歩 著 朝日新聞出版

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