『蜜蜂と遠雷』

ブックレビュー ☆4つ

『蜜蜂と遠雷』 恩田 陸

初 恩田 陸。
以前から気になっていた作家だが、今まで何故か手にとることがなかった。
今回は直木賞を受賞されたということもあり、図書館で予約。
500ページを超える大作に、遅読の僕は2週間で読み切れるか心配したが、無事読了。

国際ピアノコンクールに参加した若者たち(主に4人)の物語。
第1次予選から2次・3次そして本選まで、彼らの弾く楽曲を、音を、情景や風景そして感情や心情という言葉の表現に換えて伝える筆致は、クラッシック音楽には疎くて曲自体はまったく知らない僕にも、十分伝わってきたし感じることができた。

コンクールの最中にコンテスタント同士があれほど打ち解けられるのだろうかとは思ったが、同じ苦しみを味わってきたからこそ一瞬で心通じ合うものもあるのかもしれない。
そしてお互いに感じあうことで、さらに成長・進化していくさまは、回を重ねるごとに高まっていく観客の反応を通して、その場にいるかのように胸が弾む思いがした。

ラストで主人公の少年は想う。
「耳を澄ませば、こんなにも世界は音楽に満ちている。」
それは、作られた音楽のことではなく、自然界にあるさまざまな音。
そんな音を、音楽として感じ取れる感性・才能って素敵だなぁと思う。
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『蜜蜂と遠雷』 恩田 陸 著 幻冬舎

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