『777 トリプルセブン』
ブックレビュー ☆5つ
『777 トリプルセブン』 伊坂 幸太郎
殺し屋シリーズ、『マリアビートル』の生き残りの不運な殺し屋・七尾が活躍する。
『マリアビートル』で僕が気に入っていた蜜柑があっさり倒されてしまったこともあり、殺し屋の中ではあまり好きではなかった七尾だが、今回は終始応援する気分だった。
東京のホテルを舞台に、『グラスホッパー』や『マリアビートル』同様、今作も沢山の殺し屋が登場し死んでいく(物騒な話だ)。
最後まで生き残れるのは誰なのか・・・あっけなく亡くなったり、しぶとく生き残ったり。
殺し屋同士が対面するたび、手に汗握り読み進める。
今作で好きなキャラクターは高良(コーラ)と奏田(ソーダ)のコンビ、見識が高い高良と無邪気な奏田の組み合わせ。
とりわけ早々に退場してしまったが、奏田が語るエピソードが興味深い高良の話しはもっと聞いてみたかった。
奏田から、誰かを羨んだりすることは無いかと訊かれた高良は答える。
「梅の木が、隣のリンゴの木を気にしてどうするんだよ。梅は梅になればいい。リンゴはリンゴになればいい。バラの花と比べてどうする」