『砂浜に坐り込んだ船』
ブックレビュー ☆3つ半
『砂浜に坐り込んだ船』 池澤 夏樹
まず、カバーの美しさに見とれてしまう。
此岸と彼岸の境のような(もちろん勝手な想像だ)蒼いグラデーションの風景。
8編の短編集。
死者と語る話しが4篇。すでに亡くなった人を想う話が3篇。夢の話が1篇。
大好きな池澤さんの小説だ、悪くはない。
悪くはないのだが、彼特有の堅苦しさを感じる文章がしばしば見受けられて、ちょっとよそよそしい印象をうけた。
「悩みが深い時に欲しいのは助言ではない。ただ聞いてくれる相手だ」 砂浜に坐りこんだ船 P.37
何も言わず聞いてもらうのは、死者が最適・・・だったのかな。