『東京會舘とわたし』(上)旧館
ブックレビュー ☆4つ
『東京會舘とわたし』(上)旧館 辻村 深月
大正十一年、東京丸の内に建てられた社交場・東京會舘。
新築まもない頃から昭和三十九年まで、戦争や震災も経験した建物と、迎える側だったり訪れる側だったり章ごとに異なる”わたし”との物語。
ルネッサンス様式の外観とロビー一面の大理石、格天井の宴会場。
豪華・壮麗な建物はそこで働く人たちの意識を高める。
ボーイ・レストランの支配人・バーテンダー・美容師・菓子職人、皆そこで働けることを誇りに思い、高いプロ意識で提供されるサービスは、訪れる客の満足感を高め、東京會舘の評価を上げる。
そんな相乗効果によって高まる価値、人々から愛された東京會舘の素晴らしさが伝わってくる。
物語は、下巻(新館)へつづく。