『夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神』

ブックレビュー ☆4つ

『夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神』 水野 敬也

『夢をかなえるゾウ』シリーズ4作目。
基本的にはこれまで同様、主人公は夢の実現に向けてガネーシャから出された課題に取り組む。

今までと違うのは余命宣告された主人公が、残される家族の幸せを願う夢の実現ということで、そのせいかいつもよりガネーシャの口調が優しい気がする。
ハチャメチャなところはあいかわらずだが、それも概ね相手のことを案じての言動だったりする。

そして題名にもあるように、今回は死神がからんでくるので、死生観にかかわる名言が多く引用されている。

とりわけ、現代の医療技術の進歩についての死神の語りは考えさせられる。
「人間は、ある時期から死を、徹底的に遠ざけるようになった。死は『憎むべき敵』だとみなされ、死から逃れるためにありとあらゆる技術を発達させてきた。しかし、どれだけ遠ざけたとしても、死は影法師のように必ず人間につきまとう。その結果、どうなったか?」
「人間は、死を『敵』だと考えたことのしわ寄せを、死に際に受け取ることになったのだ」
「お前たちが好きな医学用語を使うなら、死の恐怖とは、お前たちが死を嫌い、遠ざけたことで生まれた『副作用』というわけだな。『死が悪でないことは大きな幸福である』―――古代ローマの詩人プブリリウス・シルスの言葉だ」

死に対する考え方は、死後の世界を信じるか否かや宗教観ともからんでくるので難しい問題だが、ある程度の年齢になったら(高齢者といわれる年齢じゃなくても)エンディングノートのようなものを書いておくのは必要なのかな。
本書でも書かれてたように、そのように死を意識することで、逆に生きることに誠実に取り組んでいけるんだと思う。

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『夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神』 水野 敬也 著 文響社

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