『夏帆』
ブックレビュー ☆4つ
『夏帆』 村上 春樹
「女性を主人公にした初の長編小説」ということで、主人公の名前がそのままタイトルになっている。
村上春樹の小説のタイトルは、不可解だけど内容を象徴するものが多いが、今作品は表紙とともにとてもシンプル。
正直あまり期待していなかったのだけど、読み進めるとそこはやはり村上ワールド。
会話が示唆に富んで楽しい。
絵本作家の夏帆の物語と、夏帆が書く絵本の物語が交互に進行するが、
アリクイの夫婦や守護天使やシロアリの女王が登場するのは、現実世界の夏帆の物語の方。
こちらの方がむしろ童話のよう。
村上作品でよく使われる地下に落ちる系の別世界は無いが、夏帆が知らないうちに境界を踏み越えて入り込んでしまった別世界。
よくわからないまま終わることが多い村上作品だが、これはわりとすっきりとしたエンディングで読みやすかった。


