『ブラフマンの埋葬』

ブックレビュー ☆4つ

『ブラフマンの埋葬』 小川 洋子

「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」

何かわからないが、ワクワクするような日々の始まりを予感させる一文で物語は始まる。

主人公は、森のはずれの〈創作者の家〉と呼ばれる、様々な芸術家に無償で仕事場を提供するための家に住み込みで働く管理人。
そこに突如現れた、傷ついた小動物。
彼は、その動物にブラフマン(サンスクリット語で「謎」という意味らしい)と名付け治療し、治ったのちも共に生活する。

その、水搔きと長い尻尾を持つ動物がなんなのかは、最後まで謎だ。

主人公とブラフマンの交流は微笑ましいが、、本のタイトルを知っている以上、否応なくブラフマンの死を意識しながら読み進めることになる。
あるいは、それが何かの比喩であることを願いながら。

しかし、残念ながら読者の希望に反し、ブラフマンは残念な形で死を迎える。
主人公と、その時居合わせた芸術家たちによる埋葬シーンは、悲しみの中にも暖かみを感じるものだった。

16年一緒に暮らしている老犬が、いっそう愛おしくなるような物語だった。

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『ブラフマンの埋葬』 小川 洋子 著 講談社

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